江古田駅南口のネコ(通称「べべちゃん」)について
レス範囲 09 mode
■板へ戻る
▼下へ 最新
09 ) guretu-an
[2004/07/17(土) 13:50]
殺伐とした話題の中に花一輪(笑)。

千川通り沿いに、狸小路というこのサイトに登録済みのラーメン屋
(あまりここでは評判は芳しくないようである)があるのだが、その
一軒挟んだ隣に、登録はされていない斉藤表具店という地味な、
勿論商売柄派手な訳もないのだが、そういうお店がある。
二間程の間口のその店はガラス戸になっており、狭いたたきからすぐに
結構な高さの板敷きの仕事場でもあろう薄暗い間がある。
その入り口付近にいつもかなり老齢であろう犬が、まるで世間を懐かしむ
ような顔つきでガラス越しに外の世界を見ていたものだ。

表具店の入り口の柱には「犬!」という注意書きのシールが年毎に
貼られたのであろう、十数枚が注意を促し、恐らくはこの穏やかそのものに
見える老犬もその若い日々には獰猛な性質を宿していたものかしらんとも
思わせるのだ。
それがここ一週間程、犬の姿が見えない。
私は犬の姿が見えるとほんのわずかな間だが、犬を見詰めて何とはなしに
衰えたその姿に愛着を感じ、今日もまだ元気だな、などと感じていたのである。
それがその姿が消えてしまうとなるとどうにも店の前を通る時に落ち着かない。
嫌な予感で暗い気持ちになる。
奥さんがその間にいれば、どうしたのかを聞いてみようと思っていた。

今日、斉藤表具店を通りかかるとはじめてなのだが、ご主人らしき人が
その間で仕事をしているのを見た。
いったんは通り過ぎたが思い直して店に入ってみた。
犬はどうしたかと聞いた。主人は驚いたろうと思う。
私自身にとっても唐突な質問に思えたからだ。
しかし彼はすぐに笑顔で「あ、いますよ、ええ、裏に、元気でいますよ」
そう言った。

私はむしろ犬の姿に癒されていたのはこの自分自身なのだと思い知った。

■板へ戻る
 ▲上へ 最新

管理者:AZUKI
KoMaDo-1.5a